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2017年7月26日 (水)

長谷川孝治氏との3日間。

先週の21(金)~23(日)にかけて常葉大学連携授業の企画で、青森から、弘前劇場の立ち上げメンバーであり現在青森県立美術館の総監督をされている、劇作家・演出家の長谷川孝治氏をお招きしてのワークショップ・シンポジウム・井川での講座会が開催され、自分は今回その企画のアドバイザー的なポジション、また井川ではトークゲストの形で関わらせて頂いた。
その中で、少し長谷川氏の印象を書きたいと思う。

長谷川氏はSPACができる20年も前から、青森の地で演劇を中心とした、地域に密着した芸術活動を行ってきた方である。
大学時代は哲学を専攻され、また長年にわたり高校の教師もされていたということもあるのだろうか、とにかく博学であること、なにより今回話してみて一番の印象は、経営者であるということ。
なんだか誰かに似ているなと考えたとき、紛れもない、SPAC芸術監督・宮城聰であった。
「主宰・芸術監督=経営者」であり、この方程式は地域でやっている以上重要なファクターである。
結局のところ、行政どの様な関係性の中で、県またその地の芸術文化を展開させていくか、これを無くして地域アートは成立せず、加えてアーティストをどの様な位置づけをし関わっていくか、という問題に対してはまだまだ今後の課題であるのだが、それでも行政がアーティストのバックアップを考えてくれているだけでもなんだかありがたいというのが正直な気持ちだが、もしかしたらこれも地域だからこそなのかもしれない。

青森、言わずもがな本州の最北端の県である。
人口は130万人、静岡で言うと静岡市と浜松市を足した数よりも約10万人少ない。
日照時間は静岡より短く、冬の寒気・雪に覆われた土地、それは人間にとって過酷な環境である。
静岡は温暖な気候からか人間性は柔らかい印象であるに対して、長谷川氏や、今回企画した青森出身の常葉大学の先生(お二人が同郷というところから企画が始まった)から受けた青森の人間性は、どこか心の中には劣等感が常にありながら強い芯を持っている、という印象である。

住む環境によって人間性は異なる、ということは、その地で作られるアートも異なってくる。

長谷川氏は、「静かな演劇」の旗手と言われている。
「静かな演劇」というと平田オリザ氏が有名だが、長谷川氏も最初は唐十郎の影響で演劇を始めていて、静かな演劇からは程遠いところからスタートしている。
しかしその長年の創作過程の中で、地域に住む田舎の人間の日常から湧き出るほんの少しの水こそ劇的である、ということから、劇作・演出スタイルが「静かな演劇」と呼ばれる方向へとなった。
しかし、実は「静かな演劇」とは真逆の作品も多く作っていて、それは言葉の暴力性を存分に表に出した作風であり、両極端のスタイルをもった珍しい劇作家であるということは認識して頂きたい。

青森の文化予算は、静岡に比べたら桁が違う程少なく、やりくりはかなり苦労しているらしい。
とはいえ、限られた予算の中で何ができるか、目的が果たせるか。
文化活動をしていく中で、「継続」ということほど難しく、またそれが最重要であるということを今回の三日間で多く口にされていた。
40年の青森という地でのアート活動を行ってきたこそ言える、深みのある身に染みる言葉である。
この3日間、俳優としても地域でアート活動している人間としても、実のある充実した時間であった。

ありがたいことに、静岡はアートに対する関心は高い。
この環境を大切に、これからも静岡のアート活動を盛り上げていきたい。

最後に、青森県立美術館はシャガールのバックヤード「アレコ」(アメリカン・バレエ・シアターの以来で制作したバレエ「アレコ」の舞台背景画)を4枚のうち3枚所有している。
残りの1枚を所有しているアメリカのフェラデルフィア美術館が、この度改装工事を行うため、孝治が終わるまでの期間、アレコの残りの1枚を青森県立美術館で保管することとなり、期間限定で「アレコ」が4枚揃った状態になっている。
実に貴重なこの時期に、是非青森県立美術館に出向くことをお勧めする。

http://www.aomori-museum.jp/ja/


追記
30(日)15時から、静岡芸術劇場2階のカフェ・シンデレラで、私進行で「リーディング・カフェ」を行います!
参加者とコーヒー片手に戯曲を声に出して読んでみるものです。
今回は、モリエール「病は気から」やります。
皆様のご参加、お待ちしてます!!
http://spac.or.jp/news/?cat=30

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